教育評価の基本概念まとめ(よくわかる教育評価 第1章)

2018.11.10

参考書籍

  • よくわかる教育評価 第 2 版 田中耕治 編

教育評価の意義

  • 教育活動を反省・改善するために実施する。
  • 子どもたちを値踏みするためのものではない。

タイラー原理

カリキュラム、授業、評価を一貫させるために以下の問いを設定する。

  • 学校はどのような教育目標を達成するよう要求すべきか?
  • この目標を達成するためにどのような教育的経験が提供されるべきか?
  • これらの教育的経験はどのように効果的に組織されるべきか?
  • この目標が達成されたかどうかどのように決めるのか?

アセスメントとエバリュエーション

同じ意味として使われるケースもある。

単語 意味
アセスメント 多角的な視点から、多様な評価方法によって評価資料を収集すること
エバリュエーション アセスメントによって得られた資料から、教育目標に対しての達成度を判断すること

診断的評価・形成的評価・総括的評価

単語 英語表記 役割
診断的評価 Diagnostic Evaluation 指導計画やクラス編成など教育の方針を決める材料となる情報を収集する。
形成的評価 Formative Evaluation 指導の過程で意図通りの価値を与えられているか判断し、できていない場合に指導を改善するために情報を収集する。
総括的評価 Summative Evaluation 教師は実践上の反省を行うために、生徒は学習の目標をどれだけ実現できたか確認するために行う。

「学力」の規定

「学力」を規定する場合、「乗法の意味」といった教育内容だけでは不十分。「乗法の意味を表す作問ができる」という具体的な行動まで落とし込んだ表記をする必要がある。「乗法を理解する」という表記だと、「理解する」状態がどのような状態なのかの判断基準が曖昧で一貫性を持って評価することができないため問題がある。

学力の評価方法

学力の到達度合いを評価するために、ルーブリックを作成する方法がある。

授業の要素

  • 教育目標
  • 教材・教具
  • 教授行為・学習形態
  • 教育評価

教育技術

  • わざ(教師の身体的熟練)

    • 身のこなし
    • 発声法
    • 文字・描画の巧拙
  • 手法(個別のやり方・仕方)

    • 板書法
    • 指導言法
    • 机間巡視の方法
  • 型(定式化された方法)

    • 発見学習
    • 範例学習
    • 問題解決学習
    • 班活動

カリキュラム

カリキュラムとは、子どもたちの成長と発達に必要な文化を組織した、全体的な計画とそれに基づく実践と評価を統合した営みのこと。

カリキュラムが教育目標をどの程度実現しているかを測る必要があるので、カリキュラムの評価(=カリキュラム評価)も必要となる。カリキュラム評価には、診断的評価・形成的評価・総括的評価を通してカリキュラムがどう改善されるかを考える知見を得る必要がある。

教員評価と学校評価

教員評価や学校評価の目的は地域や保護者への説明責任と、教育目標を効果的に達成すること。アメリカでは、競争的な報奨制度が協同的な教育活動を阻害することになった事例が発生したため、教員評価結果の処遇への反映には慎重になる必要がある。

まとめと感想

評価の目的や手法を改めて確認することができた。教育に限らず、日々仕事やスポーツに取り組む上でもなんらかの目標を設定し、それが達成できたかを絶えず評価している。その評価項目の設定の良し悪しで取り組みの質も大幅に変わる。

「自分たちの提供したい教育に評価は必要か?」との問題提起が以前あったが、「評価を全くしない」という自体はありえない。自分たちが提供しているサービスを見て満足していると感じるか、まだまだと感じるかは必ずあり、それを感じて行動を変えた時点でそれは評価そのものだろう。評価は必要という前提にたった上で、どのような評価観点を設定したら良いのかを考えることが必要になる。評価観点を作ることは、自分たちが暗黙知として持っている「理想」を、誰にでも判断できる形に明文化していくことに相当する。

評価方法は絶えずアップデートする必要があり、そのために評価方法自体も評価される必要がある。